問題解決したければ旅に出よ

問題解決したければ旅に出よ

今回もアランの『幸福論』です。その中から「スピード」の一節を紹介します。

汽車の中よりもいいところはどこにもない。特急列車のことである。座り心地は、どんな安楽椅子よりもずっといい。広い窓から、川や谷や丘や村や町が通り過ぎていくのが見える。目は、丘の中腹にできている道路や、その道路を走っている車や、川面に浮かぶ船の列を追いかけている。田舎の育んでいる豊穣さが、これでもかこれでもかと目のあたりに拡がる。あるときは小麦とライ麦、あるときはテンサイ畑と製油所、続いてみごとな大樹林、それから牧場、牛、馬である。切り通しには地層が露出している。これこそすばらしい地理のアルバムである。丘の向こうには雷雨の気配が見え、まぐさを積んだ車がいくつも道を急ぐのが見える。また、ある時には、刈り入れをする人たちが金色の埃のなかで働いていて、差し込む陽光に空気が震えている。これだけの光景がどこにあるだろうか。

ちょっと長いですが、いかがですか。なんだかキレイじゃないですか。

いつも上司や部下のご機嫌を伺い、自分の成長・成果を気にしすぎて、人生の喜びみたいなものを忘れてはいませんか?

この記事を書いているのは2月も終わりの頃です。梅が咲き始め、草木の芽が動き出し、小さな雑草が屈まないと見えないくらいの小さな花を咲かせています。

以前、当時付き合っていた彼女(今の奥さんですが)と姫路の美術館に行きました。彼女が美術館巡りが好きだったんですね。私なんか、付き添いで行かない限り、美術館なんて行ったことがありませんでした。

姫路美術館の一番奥にはモネの『日の入り』が飾られていました。近くでまじまじと見てみると特に緻密に描かれたわけではなく「これがいいのか?」という印象でしたが、少し引いた位置にソファーが置かれていました。

そのソファーから眺める『日の入り』はたった54cm x 73cmの絵なのに、絵の世界が広がって見えるというか、その世界に吸い込まれるような不思議な感覚に飲み込まれました。

帰りたくありませんでしたね。

いつかまた見に行きたいです。

こんな風に、日常から心を切り離し、いつもとは違うものに触れると、仕事でもこれまで得られなかったアイデアがふと浮かび上がってくることがあるかもしれません。

アイデアとは既知と既知の新しい組み合わせである。

と誰かが言っていました。

既知とはその字の通りで『すでに知っているもの』です。2つの既知の当たり前の組み合わせではなく、今までにない新しい組み合わせがアイデアなのです。問題を解決するためのアイデアを生み出す、まだ手にしていないもう一つの既知は美術館や自然の中など、普段目にしないところに転がってるかもしれません。

気分転換も兼ねて、週末は少し遠出してみるのも良いかもしれませんね。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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